【19】鳥羽ビューホテル花真珠 女将 迫間 優子さん

地元の就職先として選択肢にいれてもらいたい
旅館で働きたいと思ってくれたら、うちじゃなくてもいいんです。


あこや会以外でも活動する優子女将。全旅連の女性部、労務委員会に所属し、副委員長として、生産性向上であったり、どうすれば人々が働きやすくなるかを考えています。また三重県の旅館組合青年部や伊勢商工会議所のビジネスパークでも、宿の地位向上を目指し、旅館業、サービス業、ときにはマーケティングについて、高校生や中学生に講義しています。

サービス業ですから人を避けていては仕事になりません。それはお客様に対しても、従業員同士でも同じです。人に接して、思いをめぐらし、声を掛け合う、助け合う、気付いてあげることが大切。一匹狼ではできない仕事ですね。

クレームの後のお褒めの言葉は、どん底からのギャップに救われます。落ち込んで、また喜んでの繰り返し。

高校生や中学生に講演をすることがあるのですが、辛いことは何ですか、という質問には、やはりクレームだと話しましたが、お客様からの「ありがとう」の一言に、いい仕事ができたなと、実感できる業務です。地元の就職先として選択肢にいれてもらいたい思いで、学校からの会社見学も受け入れています。そんなときは、ビューホテルだけでなくて旅館業全体の話をします。旅館で働きたいと思ってくれたら、うちじゃなくてもいいんです。

旅館業全体で盛り上げていかねばと痛感しています。一番は鳥羽が元気なこと。隣接する伊勢や志摩と同じではなく、鳥羽独自の売り方を考えないといけません。新たな商品づくりをしたり、大手旅行代理店などに側面からアピールしていますが、大きいイベントを行ったり、何かを誘致したり、大規模な戦略も必要だと感じます。これからは、「女将」然り、日本の旅館文化を世界に発信することが自分たちの務めだと考えています。海外の旅行会社との連携も深めながら、発信力を高めていきたいです。

学校や病院、買い物施設など、不足していると感じることも多く、若いお母さんにとっては住みにくい場所ではないでしょうか。もちろん風景や食材など、このままで充分な鳥羽の魅力もありますが、住む利点を増やして、ほっとできる町になればと思います。国際文化都市というなら、学校で語学に特化するとか、あえて思い切ったことをするのも一つでしょう。教育で突出するのか、観光で尖るのか、思い切ったことをして、日本一住みたい場所になるような、突出したものが欲しいですね。

まち全体的には鳥羽の現状に焦っていると思います。何かしら問題定義をして、形にしていかないと、と考えています。
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【18】鳥羽ビューホテル花真珠 料理長 岩城和也さん

料理人に必要なのは、第六感の発想力
見た目の楽しさや驚きも
提供できるように心がけております


平成28年より鳥羽ビューホテル花真珠の料理長に就任した岩城さんは、現代の名工・黄綬褒章を受章した松浦貞勝さんのもとで働き、跡継ぎとなりました。平成21年日本調理師連合会会長賞、平成27年全国日本調理技能士会連合会会長賞、平成28年三重県知事より中堅優秀技能者の部で表彰状を受賞しています。

働きはじめた頃は、鳥羽坂手島の旅館に勤め、伊勢の調理師学校に通いました。4年経ち、親方の薦めで外の仕事を見てこないかと松阪の料亭へも行きました。その後、親方に呼ばれて鳥羽に帰ってからも、3つの宿を移動。昔はそうやって、人が足りないところに呼ばれ、親方について転々としましたが、どの場所も料理人として勉強になりました。

鳥羽料理研究三重三料会・松浦会長の盛付けや味、センスのある料理に憧れて、ずっとついてきました。仕事に対して一切妥協せず、その姿勢をずっと貫いてきた方です。当時はその厳しさに反抗心もありましたが、自分が料理長となった今、あのときの松浦さんの気持ちが、しみじみとわかってきました。見倣わないといけませんね。

一品ずつ提供する小料理屋と違って、旅館では会席として全ての料理のバランスを考えて、献立をつくります。調理場を離れたときであっても、例えば店先で器を見れば、そこに何を盛ろうかなど、四六時中、献立のことが頭から離れません。スーパーでも野菜や魚を見かけると、何につかおうかなと考えますね。市場にもたまに足を運びます。気象や環境の変化で旬がずれたりしますから、今ある食材を頭に入れておかねばいけませんし、鳥羽は食材そのものがブランド品です。伊勢エビ、アワビ、牡蠣、それに松阪牛も、お客様が求めるものに敏感にならないと。
調理場はわたし含めて6人です。10代~40代と若い世代ががんばっています。同じミスをすれば怒りますが、10分も経てば、もうそのことから頭を切り換えています。若い人のレベルアップは、自分のレベルアップにもつながりますし、若い人が育てば、励みにもなり、任せられるようになれば自分がほかのところに目を向けられます。

お客様には五感を感じながら食べていただきますが、料理人に必要なのは、もう一つに第六感。発想力です。一品ごとに素材を生かした料理のおいしさだけでなく、見た目の楽しさや驚きを提供できるように心がけております。これまで身に付けた基本や教えていただいた学びに、プラスして自身の色を出していきます。一緒のことをやっているようではダメですから。そして育ててくれた人の期待をいい意味で越えられるよう、努力しなくてはいけません。
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