【17】鳥羽ビューホテル花真珠 女将 迫間 優子さん

1泊2食の価値ある宿として、努力、工夫を重ね、
差別化していかねばなりません


宿としては、優子女将で3代目。祖父が鳥羽のまちなかで料理旅館を開業し、昭和55年に「鳥羽ビューホテル」を安楽島に建設。優子さんが生まれる一年前のことです。そして平成3年に「花真珠館」を拡張し、現在の形態となりました。

小さい頃は、フロント業務で母が寝泊まりすることもあり、妹と3人で旅館で過ごす時間も多かったです。皿洗いや布団敷きを手伝ったり、売店で売り子をやったり、小さいときから旅館に馴染んで暮らしていました。ですので宿を継ぐことに疑問も抱かず、自然ななりゆきでした。学校を卒業し、旅行会社と旅館を繋ぐ案内所に勤務し、四国の金比羅山の麓、琴平紅梅亭でも修行させてもらいました。接客も料理も洗練されていて、若い人が働く職場でしたので、帰って来たときは現状とのカルチャーショックがありましたね。1、2年は葛藤でした。

自分の宿に入ってからの10年は、旅行業界も旅館の形態もすさまじいスピード大きく変わってきました。観光地にもビジネスホテルが建ち、泊食分離も聞かれます。だからこそ、旅館は特殊。1泊2食を出す価値のある宿として、努力、工夫を重ね、差別化していかないといけません。
旅館のよさを挙げるなら、畳の部屋で寛げること、料理も出してもらえる、安心して遊べる空間があるのも一つです。小さい子がいる旅行者にとってはありがたい施設ですし、お客様にはゼロ歳から3歳までの子を連れたご家族が多いです。生後数か月のお子さんを連れて、若い夫婦が来てくれることも。旅行に出る感覚も、昔と今では違います。

最近では旅先でのリラックスの方法を提案しています。本物の音楽を聴いてもらいたいと、夏休みには夕食前にロビーでオペラ歌手、それにバイオリンとピアノの生演奏でコンサートを行いました。元はと言えば自分の子どもに聞かせたいという気持ちから始まったことなんです。自分が旅行に行くときにも、どんな体験プログラムがあるのか調べて行きます。

お子様に特化した取り組みとしては、料理長に協力してもらい「世界一のお子様ランチ」を提供しています。松阪牛のハンバーグやミートソース、伊勢エビのエビフライ、新鮮な地の魚など、本物の味を。ビューホテルで一泊して、ちょっとプラスになってもらう、がコンセプトです。まわりを気にせず食べてもらえたらと、子どもとお母さんだけの食事プランも考えています。鳥羽の宿ならではのターゲットを絞り、年配の方や、3世代旅行を狙った旅行商品も考えています。
カテゴリー: 女将

【16】戸田家 女将 寺田まりさん

もてなしも経営もそれぞれがきちんとやっていれば、
それが鳥羽全体のレベルアップに繋がる


あこや会として、鳥羽の女将仲間と積極的に活動する戸田家の寺田まりさん。戸田家のおもてなしや経営面について気を配りながら、鳥羽全体の魅力向上についても取り組んでいます。

鳥羽あこや会の活動で、外に出る機会も多くなりました。戸田家にいたら、旅館のことだけになります。もちろん、そこはきっちりできていることが前提ですが、中のことだけやっていればいい状況、時代ではありません。鳥羽を魅力的に発信できて、いかにしてお客様に来てもらえるかを考えていかなければなりません。
鳥羽全体がまとまって一つにならないと、大きな力になりせんよね。魅力がレベルアップすれば、新しいお客を呼び、またリピーターに繋がります。まとまれば、何倍もの力になりますし、またわたくしどもの宿自体がきちんとしたもてなし、経営をしていれば、それが鳥羽全体のレベルアップにも繋がる動きになりますので、一軒一軒の積み重ねが大切です。
いま、鳥羽の思い出づくりになるよう、鳥羽旅館組合で鳥羽らしいお菓子を開発しています。その売上の一部を災害時に役立ててもらえるよう三重県に寄付するなど、社会的貢献も視野に入れています。
花を生ける講習会を開いたり、正月前には鳥羽の木、やまとたちばなを使ったお屠蘇づくりや餅花づくりも。餅花は地域の文化を知ってもらおうと、去年から地元の幼稚園児も一緒につくっています。餅を搗くところからはじめるんですよ。
相差地区や答志島の女将さんたちと、9月に京都研修に出ました。こちらからすれば京都なんて老舗処で恐縮でしたが、鳥羽には海女さんがいたり、海の幸が豊富でいいわねと言ってくださり、鳥羽に対して地域外の人がどんな印象を持たれているのかが、よくわかりました。

周辺に新しいホテルができ、お客様の要望や過ごし方も変わってきましたから、鳥羽に泊まってよかったという旅館にしていかないといけません。
夏休みは家族連れ、秋からのシーズンは、団体旅行で年配の方が多くなります、新年になると神宮参拝の方と、いろんな層の方にお越しいただいておりますので、ターゲットを絞ってしまうことはできない。食事の形態もそういった層の需要があるから、いろいろ試していかないといけません。料理の評価をあげていこうと、調理場の協力も得て、取り組んでいます。

世界の中で100年続く老舗企業の割合は、日本が50パーセント以上を占めると聞きます。中でも日本は観光の国で、200年以上続く宿もあります。AIが発達しようと、お客様は千差万別。先導するにも、年配の方とはゆっくり、トイレを探している方には急ぎ足と臨機応変に対応します。ロボットがしゃべる時代になりましたが、やはりサービス業は最終的に人の力です。


カテゴリー: 女将