旅館で働きたいと思ってくれたら、うちじゃなくてもいいんです。
あこや会以外でも活動する優子女将。全旅連の女性部、労務委員会に所属し、副委員長として、生産性向上であったり、どうすれば人々が働きやすくなるかを考えています。また三重県の旅館組合青年部や伊勢商工会議所のビジネスパークでも、宿の地位向上を目指し、旅館業、サービス業、ときにはマーケティングについて、高校生や中学生に講義しています。
サービス業ですから人を避けていては仕事になりません。それはお客様に対しても、従業員同士でも同じです。人に接して、思いをめぐらし、声を掛け合う、助け合う、気付いてあげることが大切。一匹狼ではできない仕事ですね。
クレームの後のお褒めの言葉は、どん底からのギャップに救われます。落ち込んで、また喜んでの繰り返し。
高校生や中学生に講演をすることがあるのですが、辛いことは何ですか、という質問には、やはりクレームだと話しましたが、お客様からの「ありがとう」の一言に、いい仕事ができたなと、実感できる業務です。地元の就職先として選択肢にいれてもらいたい思いで、学校からの会社見学も受け入れています。そんなときは、ビューホテルだけでなくて旅館業全体の話をします。旅館で働きたいと思ってくれたら、うちじゃなくてもいいんです。
旅館業全体で盛り上げていかねばと痛感しています。一番は鳥羽が元気なこと。隣接する伊勢や志摩と同じではなく、鳥羽独自の売り方を考えないといけません。新たな商品づくりをしたり、大手旅行代理店などに側面からアピールしていますが、大きいイベントを行ったり、何かを誘致したり、大規模な戦略も必要だと感じます。これからは、「女将」然り、日本の旅館文化を世界に発信することが自分たちの務めだと考えています。海外の旅行会社との連携も深めながら、発信力を高めていきたいです。
学校や病院、買い物施設など、不足していると感じることも多く、若いお母さんにとっては住みにくい場所ではないでしょうか。もちろん風景や食材など、このままで充分な鳥羽の魅力もありますが、住む利点を増やして、ほっとできる町になればと思います。国際文化都市というなら、学校で語学に特化するとか、あえて思い切ったことをするのも一つでしょう。教育で突出するのか、観光で尖るのか、思い切ったことをして、日本一住みたい場所になるような、突出したものが欲しいですね。
まち全体的には鳥羽の現状に焦っていると思います。何かしら問題定義をして、形にしていかないと、と考えています。