【18】鳥羽ビューホテル花真珠 料理長 岩城和也さん

料理人に必要なのは、第六感の発想力
見た目の楽しさや驚きも
提供できるように心がけております


平成28年より鳥羽ビューホテル花真珠の料理長に就任した岩城さんは、現代の名工・黄綬褒章を受章した松浦貞勝さんのもとで働き、跡継ぎとなりました。平成21年日本調理師連合会会長賞、平成27年全国日本調理技能士会連合会会長賞、平成28年三重県知事より中堅優秀技能者の部で表彰状を受賞しています。

働きはじめた頃は、鳥羽坂手島の旅館に勤め、伊勢の調理師学校に通いました。4年経ち、親方の薦めで外の仕事を見てこないかと松阪の料亭へも行きました。その後、親方に呼ばれて鳥羽に帰ってからも、3つの宿を移動。昔はそうやって、人が足りないところに呼ばれ、親方について転々としましたが、どの場所も料理人として勉強になりました。

鳥羽料理研究三重三料会・松浦会長の盛付けや味、センスのある料理に憧れて、ずっとついてきました。仕事に対して一切妥協せず、その姿勢をずっと貫いてきた方です。当時はその厳しさに反抗心もありましたが、自分が料理長となった今、あのときの松浦さんの気持ちが、しみじみとわかってきました。見倣わないといけませんね。

一品ずつ提供する小料理屋と違って、旅館では会席として全ての料理のバランスを考えて、献立をつくります。調理場を離れたときであっても、例えば店先で器を見れば、そこに何を盛ろうかなど、四六時中、献立のことが頭から離れません。スーパーでも野菜や魚を見かけると、何につかおうかなと考えますね。市場にもたまに足を運びます。気象や環境の変化で旬がずれたりしますから、今ある食材を頭に入れておかねばいけませんし、鳥羽は食材そのものがブランド品です。伊勢エビ、アワビ、牡蠣、それに松阪牛も、お客様が求めるものに敏感にならないと。
調理場はわたし含めて6人です。10代~40代と若い世代ががんばっています。同じミスをすれば怒りますが、10分も経てば、もうそのことから頭を切り換えています。若い人のレベルアップは、自分のレベルアップにもつながりますし、若い人が育てば、励みにもなり、任せられるようになれば自分がほかのところに目を向けられます。

お客様には五感を感じながら食べていただきますが、料理人に必要なのは、もう一つに第六感。発想力です。一品ごとに素材を生かした料理のおいしさだけでなく、見た目の楽しさや驚きを提供できるように心がけております。これまで身に付けた基本や教えていただいた学びに、プラスして自身の色を出していきます。一緒のことをやっているようではダメですから。そして育ててくれた人の期待をいい意味で越えられるよう、努力しなくてはいけません。
カテゴリー: 板前

【17】鳥羽ビューホテル花真珠 女将 迫間 優子さん

1泊2食の価値ある宿として、努力、工夫を重ね、
差別化していかねばなりません


宿としては、優子女将で3代目。祖父が鳥羽のまちなかで料理旅館を開業し、昭和55年に「鳥羽ビューホテル」を安楽島に建設。優子さんが生まれる一年前のことです。そして平成3年に「花真珠館」を拡張し、現在の形態となりました。

小さい頃は、フロント業務で母が寝泊まりすることもあり、妹と3人で旅館で過ごす時間も多かったです。皿洗いや布団敷きを手伝ったり、売店で売り子をやったり、小さいときから旅館に馴染んで暮らしていました。ですので宿を継ぐことに疑問も抱かず、自然ななりゆきでした。学校を卒業し、旅行会社と旅館を繋ぐ案内所に勤務し、四国の金比羅山の麓、琴平紅梅亭でも修行させてもらいました。接客も料理も洗練されていて、若い人が働く職場でしたので、帰って来たときは現状とのカルチャーショックがありましたね。1、2年は葛藤でした。

自分の宿に入ってからの10年は、旅行業界も旅館の形態もすさまじいスピード大きく変わってきました。観光地にもビジネスホテルが建ち、泊食分離も聞かれます。だからこそ、旅館は特殊。1泊2食を出す価値のある宿として、努力、工夫を重ね、差別化していかないといけません。
旅館のよさを挙げるなら、畳の部屋で寛げること、料理も出してもらえる、安心して遊べる空間があるのも一つです。小さい子がいる旅行者にとってはありがたい施設ですし、お客様にはゼロ歳から3歳までの子を連れたご家族が多いです。生後数か月のお子さんを連れて、若い夫婦が来てくれることも。旅行に出る感覚も、昔と今では違います。

最近では旅先でのリラックスの方法を提案しています。本物の音楽を聴いてもらいたいと、夏休みには夕食前にロビーでオペラ歌手、それにバイオリンとピアノの生演奏でコンサートを行いました。元はと言えば自分の子どもに聞かせたいという気持ちから始まったことなんです。自分が旅行に行くときにも、どんな体験プログラムがあるのか調べて行きます。

お子様に特化した取り組みとしては、料理長に協力してもらい「世界一のお子様ランチ」を提供しています。松阪牛のハンバーグやミートソース、伊勢エビのエビフライ、新鮮な地の魚など、本物の味を。ビューホテルで一泊して、ちょっとプラスになってもらう、がコンセプトです。まわりを気にせず食べてもらえたらと、子どもとお母さんだけの食事プランも考えています。鳥羽の宿ならではのターゲットを絞り、年配の方や、3世代旅行を狙った旅行商品も考えています。
カテゴリー: 女将